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ポアソン過程には、定常増分性という性質があります。
参考 ポアソン過程については、こちらの記事でわかりやすくまとめています。
今回は、その定常増分性についてわかりやすくまとめました!
ポアソン過程の定常増分性の前に
ポアソン過程の定常増分性について考える前に、ひとまずポアソン過程について簡単に復習しておきましょう。
ポアソン過程の直感的な理解
詳しくはこちらの記事で解説していますが、ポアソン過程とは
ある時刻までに希少現象が発生した回数の総和
を表す確率過程です。
ポアソン過程の簡単な具体例
例えば、ある店に客が来店するというのは希少事象として考えられるので、時刻 $t$ までに来客した累計人数を $\Lambda (t) $ とすると、$\Lambda (t)$ はポアソン過程です。
他にも
といった様々な事象がポアソン過程では考えられます。
今回は、店に来店した累計客数を $\Lambda(t)$ として統一します。
ポアソン過程はポアソン分布に従う
ポアソン過程 $\Lambda(t)$ はポアソン分布 $Pois(\lambda t)$ に従います。数式で書くと
$\Lambda(t) \sim Pois(\lambda t)$
です。
ここで、$\lambda$ は正のパラメータです。
復習は以上です!早速定義に移りましょう!
定常増分性の定義
ポアソン過程 $\Lambda(t)$ は次で定義される定常増分性を持ちます。
なので、$\Lambda(t+h) \;-\; \Lambda(t)$ は時刻 $t$ から $t+h$ の間に到着した客数を表します。
これが $t$ に依存しないということは、ある期間 $h$ の間にどれくらい客が来るかを考えるにあたって、「いつの期間 $h$」かを考える必要がないということです。
簡単な具体的例
例えば、「1時間内に到着した客数」といった場合
など様々なケースが考えられますが、ポアソン過程ではその1時間が「何時から」の1時間であっても関係ありません。
最初の時刻が「何時から」であっても、「1時間」という情報だけがわかれば分析できるのです。
数学的な定義を見てみると、より理解が深まるはずです。
定常増分の数学的な定義
定常増分性は、数学的には次のように定義されます。
ここで、$\lambda > 0$ は $\Lambda(t) \sim Pois(\lambda t)$ となるパラメータです。
この式が表すのは、
ということです。
パラメータに $t$ が含まれていないことから、$t$ に依存しないことは明らかですね!
また、パラメータに $h$ が含まれていることから、期間の長さ $h$ には依存することもわかります。
以上で説明は終了です。ここからは証明になるので、興味がある方はじっくり読んでみましょう。
ポアソン過程の定常増分性の証明
証明にあたっては、確率母関数というものを使います。
確率母関数
確率母関数は、整数値を取る確率変数 $X$ に対して以下のように定義されます。
確率母関数についてはこれだけです!
式変形の際にポアソン過程の独立増分性も使うので、それについても簡単に触れておきましょう。
ポアソン過程の独立増分性
ポアソン過程には、$[a_1, \; a_2] \cap [b_1, \; b_2] = \varnothing $ となる $(a_1, a_2, b_1, b_2) \in \mathbb{R}^4$ について、
が独立であるという独立増分性があります。
この性質の詳しい意味については、こちらをご覧ください。
証明
まず、ポアソン過程 $\Lambda(t)$ は $Pois(\lambda t)$ に従うので、
$ \begin{eqnarray} G_{\Lambda(t)} (z) &=& \mathbb{E} [z^{\Lambda(t)}] \\ &=& \sum_{i=0}^\infty \color{blue} \mathbb{P}(\Lambda(t) = i) \color{black} z^i \end{eqnarray}$
$\color{blue}\mathbb{P}(\Lambda (t) = i) = \displaystyle \frac{e^{-\lambda t} (\lambda t)^i }{i!}$
だから
$\begin{eqnarray} G_{\Lambda(t)} (z) &= \sum_{i=0}^\infty \color{blue}\frac{e^{-\lambda t} (\lambda t)^i }{i!} \color{black} z^i \\ &= e^{-\lambda t} \color{red}\sum_{i=0}^\infty \frac{ (z \lambda t)^i }{i!} \end{eqnarray}$
ここで、指数関数のマクローリン展開を考えると
$ \begin{eqnarray} \color{red}\sum_{i=0}^\infty \frac{ (z \lambda t)^i }{i!} = e^{z \lambda t} \end{eqnarray}$
なので
$ \begin{eqnarray} G_{\Lambda(t)} (z) &=& e^{-\lambda t} \color{red} e^{z \lambda t} \color{black} \\ &=& e^{- \lambda t (1 – z)} \end{eqnarray}$
同様に
$ \begin{eqnarray} G_{\Lambda(t+h)} (z) &=& e^{- \lambda (t+h) (1 – z)} \end{eqnarray}$
次に、
$ \begin{eqnarray} G_{\Lambda(t+h)} (z) &=& \mathbb{E} [z^{\Lambda (t+h)}] \\ &=& \mathbb{E} [z^{\Lambda (t)} \cdot z^{\Lambda (t+h) – \Lambda(t)}] \end{eqnarray}$
で、独立増分性から
$ \begin{eqnarray} G_{\Lambda(t+h)} (z) &=& \mathbb{E} [z^{\Lambda (t)}] \mathbb{E}[ z^{\Lambda (t+h) – \Lambda(t)}] \\ &=& G_{\Lambda(t)} (z) G_{\Lambda(t+h) – \Lambda(t)} (z) \end{eqnarray}$
が成り立つ。
以上をまとめると、
$ \begin{eqnarray} G_{\Lambda(t+h) – \Lambda(t)}(z) &=& \frac{G_{\Lambda(t+h)} (z)}{G_{\Lambda(t)} (z)} \\ &=& \frac{e^{- \lambda (t+h) (1 – z)}} {e^{- \lambda t (1 – z)}} \\ &=& e^{- \lambda h (1 – z)} \end{eqnarray}$
最後の $e^{- \lambda h (1-z)}$ は $G_{\Lambda(h)} (z)$ に他ならないので、
$G_{\Lambda(t+h) – \Lambda(t)}(z) = G_{\Lambda(h)} (z)$
つまり、確率変数 $\Lambda(t+h) – \Lambda(t)$ は $\Lambda(h)$ と同じ確率分布に従う。
ポアソン過程 $\Lambda(h)$ は $Pois(\lambda h)$ に従うので、
$\Lambda(t+h) \;- \;\Lambda(t) \sim Pois(\lambda h)$
まとめ
今回は、ポアソン過程の定常増分性を解説しました。
ポアソン過程の基本的な性質として押さえておきましょう!
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